測定における誤差 KEK 猪野 隆
論文は、自ら書くもの 誤差は、自分で定義するもの ただし、この定義は、 多数の人に納得してもらえるものであること
誤差をどのように決めるか? 統計誤差に関しては、数学的理論に基 づくさまざまな誤差の推定方法がほぼ確 立されている 系統誤差については、ある程度の一般 論はあるものの、多くの場合、実験者の 判断で誤差を推定している
おみくじの例 その一
おみくじの例 その二 「凶」は、 28 本中 3 本だった
おみくじの例 その三 おみくじは二項分布に従う。 このおみくじを四回ひいて、 一回「凶」が出る場合の標準 誤差は、次のように表せる。 とコンシステント これは
系統誤差 装置の精度・安定性 温度、湿度、気圧、 光、振動、潮汐力、 電源電圧変動、時間、 外来ノイズ(電磁場)、 自然放射線、宇宙線、 ・
誤差の性質 ・デタラメは規則正しい ・独立な誤差は二乗和でかさなる ・誤差は末代まで受け継がれる ・差の誤差には気をつけろ ・誤差は人格を反映する
誤差の性質 ・デタラメは規則正しい ・独立な誤差は二乗和でかさなる ・誤差は末代まで受け継がれる ・差の誤差には気をつけろ ・誤差は人格を反映する
出鱈目の規則性 ・任意の分布を持つ母集団において、 標本が大きくなると、標本平均値の分布は 次第に正規分布に近づく ・不確定な “ もの ” が多数かさなると、 “ もの ” の平均は正規分布になる
中心極限定理 ・任意の分布を持つ母集団において、 標本が大きくなると、標本平均値の分布は 次第に正規分布に近づく
Coin toss の場合 Coin toss を N 回行う Heads を 1 、 tails を 0 として、 coin toss N 回の合計を計算する これを 1000 回行い、合計の頻度分布をみる 図の縦軸は頻度、横軸は合計 N = 1 N = 2N = 5 N =10N = 100N = 1000
ガウス分布 :平均値あるいは中心値 :標準偏差 (バラツキの程度)
正規分布あるいはガウス分布 ・ある量を多数回測定すると、 測定された量は正規分布になる うずらの体重 ・テストの点数 ・ヒトの身長 ・距離 ・時間 ・電圧 ・
測定値と誤差 ある測定がガウス分布に従うとすれば、あるいは従うとして、 その標準偏差 をもって測定の誤差とすることが多い。
測定値と真値との関係 測定結果 から、真の値 は、 と との間であろう・・・ 定量化
真の値 が の 範囲に入っている確率 確からしさの度合い 1 ○○○ の測定結果は、 コンフィデンスレベル 68.3% で である ガウス分布の式から、 これは 68.3% になる
確からしさの度合い % 誤差と確からしさの関係 95.4% 99.7% 90% 99% 99.9%
誤差の性質 ・デタラメは規則正しい ・独立な誤差は二乗和でかさなる ・誤差は末代まで受け継がれる ・差の誤差には気をつけろ ・誤差は人格を反映する
フィゾーの光速測定 現代では、光速は定義となっているが・・・ 313 Mm/s (1849)
誤差の性質 ・デタラメは規則正しい ・独立な誤差は二乗和でかさなる ・誤差は末代まで受け継がれる ・差の誤差には気をつけろ ・誤差は人格を反映する
光では見えない天体をマイクロ波で捉える CMB のとき、がひじょうに大きくなる
誤差の性質 ・デタラメは規則正しい ・独立な誤差は二乗和でかさなる ・誤差は末代まで受け継がれる ・差の誤差には気をつけろ ・誤差は人格を反映する
中性子寿命の測定
Xe EDM の測定
はかりたいもの 磁気モーメント 静磁場 振動数 プランク定数 静電場
・磁場モーメントはもちろん、プランク定数にだって誤 差がある 物理定数表にのっている値をチェック ・静磁場は、最終結果には出てこないけど・・・ 電場の向き ↑↓ で、静磁場に変化がなければ 最終結果には影響しないが、実際のところは? ・静電場はどれくらいの精度でわかる? ・振動数の測定精度って、どう考える? 電場+での測定電場-での測定 EDM 測定の場合
を考える を導く
キーワード ・二項分布 ・ポアソン分布 ・正規分布(ガウス分 布) ・中心極限定理 ・標準偏差 ・誤差の伝搬 ・最小二乗法 ・ χ 2 ・ CL (コンフィデンスレ ベル) ・ランダム誤差 ・統計誤差 ・系統誤差 ・最尤法
おしまい