偏微分方程式の境界値問題を 基礎とするデジタル画像解析 山谷研究室 5001-3060 中村 大城 5022-3019 山口 英一郎
はじめに 離散点において与えられたデータを 何らかの関数で補間・近似する方法 代数多項式 : ラグランジュ補間法 三角多項式 : フーリエ級数 代数多項式&三角多項式 : ランチョス法
ラグランジュ補間法 1795. Joseph-Louis Lagrange N 個の点を通る曲線を(N-1) 次関数で近似する.
ラグランジュ補間法 ルンゲ現象
調和解析(フーリエ解析)について ・ギリシャのサモス島で発祥. ピタゴラス ( 一説には BC570~500 ) 教団による音楽の研究. ピタゴラスらは,いろいろな長さの弦を弾くと,きれい な音がでるときと,そうでないときがあり,それらの関係 は,簡単な自然数の比で表されることを示している. 例えば,“ド”の音をかなでる弦の長さに対して, 1オクターブ高い“ド”の音を出す弦の長さはちょうど 2分の一であり,これらの弦を同時に弾くと, 非常に美しい音が合成される. この例ように,かれらは,自然数と音の ハーモニー(調和)との関係を,実験的 および数論的立場から研究している. 彼らの着目した“弦の長さ比”は,今で言う 振動数に相当する. サモス島
D‘Alembert 1750 ~ → Euler 弦の振動に関する研究 → D. Bernoulli 1800 ~ → Jean Baptiste Joseph Fourier おもに熱伝導問題の研究 三角多項式 の時代 正弦・余弦波 の無限級数
フーリエ級数 余弦波 正弦波
フーリエ級数 ギブス現象
フーリエ級数
フーリエ・コサイン級数 偶接続
フーリエ・コサイン級数
画像の捕え方
ポアソン方程式 平均曲率 領域内部での平均曲率 v の積分値 境界上での u の傾き(ノイマン境界値) の積分値 境界上での傾きから領域内部の 平均曲率に関する情報が取り出せる ポアソン方程式のノイマン境界値問題
ポアソン方程式のノイマン境界値問題を用いた補間曲面について 赤線は傾き 境界上での傾きのみが与えられた場合に,領域内部の 関数を補間するためには,どうすれば良いのか? やっぱり最も起伏の穏やかな曲面がいいのではないだろうか そこで,平均曲率の二乗積分値に着目する このとき,二階微分可能かつ連続,およびノイマン境界条件を満足する関数の中でM(p)を最小とする関数は,ポアソン方程式 の解である! yamatani, saito, 2006
ポアソン方程式のノイマン境界値問題の解の一意性について
ポアソン方程式のノイマン境界値問題の解の一意性について
この方程式を満たす解は定数のみであることを示したい 解の一意性の証明 この方程式を満たす解は定数のみであることを示したい そのためには,左の等式が成立することを 示せばOK
この方程式を満たす解は定数のみであることを示したい 解の一意性の証明 この方程式を満たす解は定数のみであることを示したい そのためには,左の等式が成立することを 示せばOK Gは調和関数なので,0になる グリーンの 発散定理
ポアソン方程式のノイマン境界値問題の解の一意性について 定数 ポアソン方程式のノイマン境界値問題の解は, 定数項を除いて,一意に決まる!
多重調和局所コサイン変換 (Yamatani&Saito 2006) 元の関数 f を f = u + v であらわす. 残差 v の平均値が元の関数 f の平均値と等しくするため,u 平均値が 0 になるような u を定める. f と u は境界での傾きが等しいので,残差 v は境界での傾きが 0 になる. v f ①PHLCTはまずこのようなヒストグラムを考えます ②このヒストグラムは各ブロックにおける源関数の平均値のヒストグラムです. ③注目するブロックとその周辺のブロックのヒストグラムから 周辺のブロックとの境界における傾きを近似します. ④この傾きは元の関数fの境界における傾きの近似です. ⑤次に,境界における傾きから u を求めます. ⑥u はポアソン方程式のノイマン境界値の解なので, u の形は一意に決まります. u の高さは一意には決まりませんが, ここではブロックでの平均値が 0 (積分値 0) になるように u を決めます. ⑦こうすることで,fからu を引くことで得られる残差 v の平均値はfの平均値と同じになり, ヒストグラムの高さは保たれます. ⑧この操作を各ブロックで行うことでヒストグラムを保ったまま残差を得ることができます. u
PHLCT : Polyharmonic Local Cosine Transform (多重調和局所コサイン変換) 残差 v の遇接続を周期的に延長し,フーリエコサイン級数で近似する. 境界で傾きが連続で,遇接続により二階微分まで連続性が保たれているので圧縮効率が JPEG-DCT よりも高い. この残差の遇接続を周期的に延長した関数を, フーリエコサイン級数展開で近似します. この周期関数は接続部分での傾きが連続で,
PHLCT : Polyharmonic Local Cosine Transform (多重調和局所コサイン変換) v f u
静止画における 圧縮画像の例 オリジナル画像 QSFIT PHLCT JPEG DCT 二次曲面 ポアソン方程式のノイマン境界値問題の解