糸魚川 − 静岡構造線断層帯 北部周辺における稠密 GPS 観測 名古屋大学大学院環境学研究科附属地震火山・防災研究センター 鷺谷 威 国土地理院地理地殻活動研究センター 西村卓也・矢来博司・水藤 尚 以下の皆さんが観測にご協力下さいました.ここに記して感謝します. 井上政明,大石陽,大園真子,太田雄策,川元智司,西脇周平,光井能麻,山室 友生
糸魚川-静岡構造線と活断層 奥村・他 (1998)
糸静線における過去の地震 A.D. 841 以降大地震無し 大地震発生と甚大な被害の可能性 North South Okumura(2001)
重点的調査観測(キャンペーン GPS , 28 ヶ所)
キャンペーン観測点
キャンペーン観測の実施 2002 年 – グループ1: 10/16-18 設置、 10/23-25 撤収 – グループ2: 10/23-25 設置、 10/30-11/1 撤収 2003 年 – グループ1: 10/29-31 設置、 11/5-7 撤収 – グループ2: 11/5-7 設置、 11/12-14 撤収 2004 年 – グループ1: 11/10-12 設置、 11/17-19 撤収 – グループ2: 11/17-19 設置、 11/24-26 撤収 2005 年 – グループ1: 10/31-11/2 設置、 11/7-9 撤収 – グループ2: 11/7-9 設置、 11/14-16 撤収
アンテナ交換 受信機交換
地震の影響は 2,3mm 程度。
青:本観測 紫: GEONET( ) 速度ベクトル (臼田固定)
青:本観測 紫: GEONET( ) 速度ベクトル (臼田固定)
白馬ー長野 大町ー上田 松本 速度ベクトル (臼田固定)
白馬〜長野 WNW-ESE 方向の 短縮 (~15mm/y) が 顕著 神城断層 (ISTL) と 長野盆地西縁断層 付近で速度ステッ プ (5-7mm/y) 応力蓄積というよ りむしろ解放? ISTLWNBF Fault-normal Fault-parallel
大町〜上田 大町付近で幅約 30km の短縮変形 帯 変形帯は一つ Sagiya et al.(2004) と同様な結果 Fault-normal Fault-parallel
松本 70km 以上の 幅を持つ変形 域で 8-9mm/y の左横ずれを 解消 牛伏寺断層 (ISTL) は変形 域の東側に位 置する。 一様な変形 無変形 ISTL Fault-normal Fault-parallel
結論 精度評価 – 水平成分は実用に耐える:数 mm/yr の精度(5年程度の観測) – 上下成分は十分な精度は得られていない 糸静線中北部域周辺における詳細な地殻水平変動 – 白馬〜長野:神城断層と長野盆地西縁断層に変形集中 – 大町〜上田:一つの変形集中帯 – 牛伏寺断層:幅広い左横ずれ変形帯の北東部 地震発生ポテンシャル – 牛伏寺断層:横ずれ断層が基本。広域に蓄積された剪断応力を集中的に解放? – 神城、長野盆地西縁:固着していない可能性 総合評価 – 高コストパフォーマンス 4 年間で 500 万円程度:連続観測点1点分以下 ただし,機材と人手は必要 – 限界はある 時間分解能を犠牲 途中でイベントがあった場合には使えない. – イベント発生時に基準点として利用可能 主要活断層周辺に整備してはどうか?